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2ch、および管理人に対しての訴訟まとめ

ネット掲示板関係の訴訟で比較的多いのが「2ch」です。
2chは誰でも気軽に書き込めることが特徴であり、非常に多くのユーザーがいると言われています。そのため、そこに書き込まれた内容は、テレビや雑誌に取り上げられるよりもある意味影響力が大きいとも言えます。

そこで今回は、2chの掲示板に関係する名誉毀損事件の裁判例についてご紹介したいと思います。

Contents

プロバイダに対して開示請求が認められた事例 2003年

今ではネット上の誹謗中傷による犯人探しに、プロバイダへの発信者情報開示請求は比較的当たり前のように行われていますが、実はこれが初めて認められた事例が2003年にありました。

本件は、ある労働者派遣会社が、2ch掲示板において同社を誹謗中傷する内容の書き込み(労働条件などを非難)被害にあった事例です。当該企業は書き込みをした犯人を特定するために、WEBサイトにサーバーを提供したレンタルサーバー会社と、発信者が利用したアクセスプロバイダーに対して、発信者情報開示請求をしました。

本件裁判においては、レンタルサーバーに対する発信者情報開示請求は認められましたが、プロバイダについてはあくまで個人との契約であるとして認められませんでした。

ところが、この事件は思わぬ方向へ波及します。

当該企業の代理人の弁護士が、本件について2ch上で個別に誹謗中傷されたのです。
これにより、なんと本件訴訟とは別に弁護士自身が被害者となって、発信者情報開示請求を提訴したのです。
ちなみに、こちらが弁護士を怒らせてしまったとされる書き込みの再現文です。

「卑怯」
「あんたそろそろ自分自身にも弁護士をつけたほうがいいんじゃない?」
「DQN」

これらの書き込みに反発した弁護士は、掲示板の管理者に対して発信者情報開示請求を行い、経由プロバイダがどこであるかを突き止めました。そして、その軽油プロバイダに対して発信者情報開示請求をしたのです。
その結果、先ほどの企業を原告とした訴訟では、プロバイダへの発信者情報開示請求は認められませんでしたが、本件訴訟ではなんとそれが認められたのです。
当該訴訟において、裁判所は次のように述べています。

「課金のために発信者の住所氏名を把握している中継プロバイダーを対象から外せば、被害救済の道を閉ざすことになりかねない」

そもそも発信者情報開示請求を認める主旨には、被害者の救済という目的があります。けれどもこれをサーバー会社にしか認めないとなると、犯人特定に至る情報まで辿りつきません。犯人と2chをつなぐ鍵はプロバイダにあるのです。すなわち、プロバイダの発信者情報開示請求を認めることが被害者救済に直結すると裁判所も判断したのでしょう。

なお、当該事例による発信者情報開示請求のフローは、のちのネット誹謗中傷における犯人特定のための、一つのマニュアルとなりました。

タレントの名誉毀損事件 2011年

2chにおいては度々タレントの誹謗中傷がされていますが、実際に訴えるまでに至るケースはごくわずかです。そんな中今回は実際に裁判に訴えて勝訴した事例をご紹介します。

被害者はタレント麻木久仁子さんです。
当時被害者は、不倫騒動が発端となり、2chにおいてもかなりの誹謗中傷がされていました。そんな中、被害者の逆鱗に触れたのは、本人ではなくその長女を誹謗中傷する書き込みを見つけたからです。

本件のポイントは、書き込んだ犯人の特定、すなわち発信者情報開示請求です。
被害者は加害者が利用していたプロバイダを突き止め、プロバイダに対して発信者情報開示請求をしましたが、プロバイダが当該書き込みが名誉毀損に当たるかどうか判断しかねるとの理由で開示を拒否したことから、被害者がプロバイダを訴えました。

本件事案のように、プロバイダが発信者情報の開示に任意で応じるケースはあまり多くありません。明確な個人情報の流出などでもない限り、ほとんどは裁判所から命令が出た時点でようやく開示に応じるという姿勢をとっています。
当該事例では、訴訟によって「記載内容が社会的信用を低下させるのは明らかで、真実でもない」とされ、被害者側の勝訴となりました。

リンクの貼り付けだけで名誉毀損が認められた事例 2011年

名誉毀損が成立するためには、相手の名誉を毀損する内容の書き込みがされていることが大前提と考えられていました。ところが、この事案では、名誉を毀損する内容が記載されているサイトのURL(ハイパーリンク)を貼り付けただけの2chへの投稿についても、名誉毀損に当たるとして、発信者情報の開示を認めた非常に貴重なケースです。

被害男性は、2chのあるスレッドに「職業+実名 セクハラ」のタイトルと共にURL(ハイパーリンク)が貼り付けられているのに気がつきました。そして、そのリンクをクリックした先に、被害男性が過去にセクハラをしたとする内容の記事が掲載されていました。

そこで被害男性は、プロバイダに対して当該リンクを貼り付けた投稿者の発信者情報開示を求めて提訴しました。

第一審では、単にリンクを貼っただけでは、名誉毀損に当たらないとして訴えを退けました。けれども、第二審では一転して名誉毀損に該当するとして、発信者情報開示請求が認められました。

この判決でポイントとなるのは、以下の点です。

    リンクの先に名誉毀損に当たる記事が存在している。
    ハイパーリンクが設定してあり、閲覧者がリンク先の記事を閲覧する可能性があることを容易に想像できる

この2つに該当する場合は、たとえ他者の書き込みへのリンクの貼り付けだとしても、リンク先の内容をコピペしたのと同等と考えて名誉毀損に該当する可能性があるとの見解を示したのです。

このように、例えば自分自身の投稿画面では誹謗中傷していなくても、そのリンクを貼るということが意図的に誹謗中傷記事の閲覧へと誘導しているとみなされるような場合は、名誉毀損が成立する余地があるということですので、他人の記事へのリンクを貼る際には、リンク先の内容にも十分注意しましょう。