ステルスマーケティングの問題点と見破る方法
皆さんは商品を購入したり、初めて食事に行く店を調べるときにどんな情報を参考にしますか?
ひと昔前であれば、「商品カタログ」であったり、「ガイドブック」などに頼っていましたが、最近では多くの人が「口コミ」や「レビュー」を参考にしていることと思います。
皆さんも通販で商品を購入する際には、必ず口コミやレビューを参考にしますよね。
これらの情報は、企業と利害関係のない「第三者」からの率直な感想であるからこそ、消費者にとって説得力があります。
そんな中、今問題となりつつあるのが「ステルスマーケティング」です。皆さんも聞いたことはあると思いますが、細かく聞かれると何のことかわからない人も多いと思います。そこで今回は、この「ステルスマーケティング」の抱える問題について解説したいと思います。
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そもそもステルスマーケティングとは?
ステルスマーケティングは略して「ステマ」とも表現されています。
これは、すごく端的に言うとネット上の「やらせ」のようなことです。先ほども言いましたように、口コミやレビューといったものは第三者の立場の意見だからこそ意味があるものです。
にも関わらず、これを悪用して、企業側に立つ人間が一般ユーザーになりすまして宣伝目的の口コミやレビューを行うことで、商品をPRしようとする行為をステルスマーケティングと言います。
ちょっと前にペニオクで複数の芸能人が買ってもいない商品を口コミで投稿して問題となりましたが、あれも一種のステルスマーケティングに近いといえるでしょう。
「ステマ」と「やらせ」はちょっと違う?
なお、「ステマ=やらせ」、かというとちょっと違います。
「やらせ」はあからまさに消費者を欺く行為であり、法的にも詐欺などに問われる可能性もありえます。
これに対しステルスマーケティングの場合は、それによって商品を直接的に勧誘したり宣伝するというよりは、第三者を装って自然に情報発信することを目的としているため、その本質は微妙に違うのです。
ただ、この線引きを法的に明確化することは難しく、現在の日本でもどこまでがステマで、どこからがやらせやサクラなのかがはっきりとしていない状況です。
外国ではステマはどう扱われているのか
外国においては消費者意識が日本よりも高い国も多いため、公正な取引の観点から規制されているところも多いようです。以下に具体例を記載します。
アメリカの場合
アメリカでは「広告における推薦及び証言の使用に関するガイドライン」というものが規定されています。これにより、広告との明示がない口コミやレビューにおいて、その投稿者と企業側に見返りなどの利益供与が発覚した場合は、違法との判断がされる場合があります。ペニオク騒動がまさにこれに当てはまります。
イギリスの場合
イギリスでは「不公正取引から消費者を保護するための法律」が制定されています。
これによりステマ行為については消費者を保護する観点から違法であると規制しています。
なお、日本においても景品表示法のガイドラインにおいて、一定の規制を公表しているものの、完璧に機能しているとは言えないでしょう。また、最近ではガイドラインが一部改訂されて、口コミサイトなどにおける、やらせなどのステルスマーケティングについては、景品表示法違反の不当表示の禁止に該当する恐れがあるという旨が追加されました。
ステマはその選別が難しい
ステマの規制がうまく機能しない原因は、ステマと一般の口コミの選別が難しいことにあります。
例えば企業が独自のアカウントで口コミを書いていればすぐにわかりますが、その会社の社員などが個人のアカウントを作成し、そこから口コミを投稿したら、見分けることはとても難しくなります。
これが、ステマの規制が難航している一つの原因でもあるのです。
ステマを見破る方法とは?
ステマを見破るには幾つかのコツがあります。次の点に注意をして口コミをチェックすると、ステマかどうかがわかるかもしれません。
怪しい書き込みは他の書き込みの内容もチェック
ステルスマーケティングと疑わしき口コミを発見した場合は、その投稿者のアカウントやIDをチェックし、その人が他の商品やサービスでどのように口コミしているのかをチェックしましょう。
ステマに使われるアカウントは、作成されてから間もない可能性が高いため、他の口コミを見ても書き込まれていない場合があります。また、ステマ目的の書き込みは不自然に情報量が多いこともありますので、注意して読んでみましょう。
情報の具体性をチェック
ステルスマーケティングの場合、実際のユーザーではないため情報が微妙に抽象的になることがあります。
例えば通販商品であれば、本当に使ったことがある人でしかわからないようなことに触れられているかどうかがポイントとなります。抽象的な形容詞ばかりの口コミはステマの可能性があります。
ステルスマーケティングに騙されない判断力を身につけましょう
これからのネット社会、ステルスマーケティングを一切排除することはとても難しいでしょう。むしろ排除するよりも、ステルスマーケティングありきで、それを消費者が見抜くためのスキルをどんどん身につけていく方が先決なのではないでしょうか。
口コミやレビューは確かに参考になりますが、あくまで判断材料の一つとして捉え、他の情報なども総合して最終的にどうするかの結論を出すようにしましょう。