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餃子の王将で発生した不適切行為の炎上事例

大手飲食チェーンにおけるSNS騒ぎが後を絶ちません。一体いつから日本はこんなにもモラルのない国になってしまったのでしょうか。
今回ご紹介するSNS炎上被害の舞台となったのは、今や誰もが知っている餃子の老舗「餃子の王将」(京都市)です。
餃子の王将が被害を受けたのは、次の2つのケースです。

Contents

従業員のせいで炎上したケース

飲食店の従業員が不適切な画像をSNSに公開して問題となるケースは多々ありますが、餃子の王将でも同じことが起きてしまったようです。

新潟市にある新潟近江店において仕事中の従業員が、キッチンにある冷蔵庫の中に体を入れた状態を、携帯で撮影しSNSに投稿したのです。写真を見る限り、餃子の王将の制服を着ていますので、素性はバレバレでしょう。

また、本人の両サイドには客に提供前の餃子が入っていると思われる木箱が収納されており、不快感を一層際立たせています。
この店舗では、事件発覚をSNSで知り慌てて店舗を休業し、食材を全て廃棄処分した上で消毒を行ったそうです。

従業員一人の問題ではない

ちなみにこの写真、どのような経緯で撮影されたのかは定かではありませんが、写真を見る限り、写り込んでいる本人の他にもう一人、撮影者がいると考えるのが自然でしょう。

要するに、このような非常識な行為に及ぼうとしている従業員を止めるどころか協力しているあたりが、この問題の根深いところを表しています。
仮にこのような非常識な行為に及ぼうとしている従業員を見つけたら、止めるのが当然です。それができなかった店舗全体の雰囲気自体も問題視すべきでしょう。

「冷蔵庫に入ってはいけない」というマニュアルは必要か

この餃子の王将の事例のように、従業員が飲食店の冷蔵庫に入った様子をスマホなどで撮影するケースは、全国各地で発生しています。なぜこんな非常識なことをするのでしょうか。

その理由はきわめて単純です。
「注目」を集めたいからなのです。
そのような写真を投稿すれば、良くも悪くもかなりの注目を集めます。ツイッターであればリツイート数、フェイスブックであれば「いいね」の数、これらのカウントを増やすことに快感を覚えてしまうと、もはや常識すら関係なくなってしまうのです。
本来であれば、「冷蔵庫に入らない」などという行為はあえて説明する必要のない常識でしょう。けれども、ここまでモラルが欠けてきていますので、今後店舗のマニュアルに「冷蔵庫に入らない」という一文を加えなければならない時代になってしまったと考えるしかないでしょう。

来店客のせいで炎上したケース

従業員の起こした不祥事については、いくらそれが一従業員の非常識な行為だったとしても店側が責任を取ることは致し方ないでしょう。けれども客の起こした非常識な行為まで店側が責任を取る必要があるのでしょうか。
次の事例はそんなことを考えさせられます。

舞台となったのは、またしても新潟近江店と金沢市にある金沢片町店です。
行為の内容はあまりにもひどいものです。なんと約10人の男性客が店内で全裸の状態になり、その状態で席に座ったほか、従業員の服まで勝手に着用して調理場にまで入ったとのこと。

撮影した本人は、メディアの取材に対して「店側の許可はとってあった」と言っているようですが、そんなこと許可するはずがないでしょう。その写真はインターネットに投稿されましたが、あまりにも卑猥な為、転載や引用すら控えられるほどでした。
このケースにおいて注目すべきは、その後の店側の対応です。

客の行為で店が閉店に

今回の一連の行為の中で、果たして店側に落ち度はあったのでしょうか。

当時の日経新聞によれば、従業員の制止を振り切ってその行為に及んでいるとのことですから、少なくとも従業員に罪はないでしょう。つまり、店側に過失はほぼなかったと言えるのではないでしょうか。にも関わらず、王将が出した結論はなんと店の閉店でした(金沢片町店)。
店を閉店させた理由として、王将は次のように発表しています。

「お客様にご不快な思いとご迷惑をかけ、営業を続けていくことは許されない」

確かに、その写真によって不快な思いをした人がいたのは事実でしょう。ただ、それによってある意味被害者でもある王将が、閉店に追い込まれる必要があるのでしょうか。
ここに「食品」という極めてデリケートな商材を扱っていることの大きなリスクを感じます。これが、食品以外のものを扱う店舗であれば、ここまでの対応はしなかったでしょう。

飲食店のSNS被害を食い止めるためには「損害賠償請求」が必要

このような非常識な行為が横行する一番の原因は、「それをするとどうなるのか」が正しく世間に理解されていないからであると言えます。

例えば、店にある食器を意図的に破壊すれば、店側から損害賠償請求されることくらいはわかるでしょう。けれども、SNSに写真を投稿して損害賠償請求をされるとは思っていないのです。
実際、これらの投稿をしている本人は、ちょっとした悪ふざけのつもりなのでしょう。ただ実際には、店の食器を破壊するよりももっと大きな損害を与えることになるのです。

こういった飲食店関連のSNS被害の損害賠償問題は、あまり表に出てこないため、実際はどのように解決がなされているのかは定かではありませんが、少なくとも店側が本人に対して損害賠償請求をしたと報道されたケースは少ないでしょう。

ですから、「どうせ炎上しても大した問題にはならない」と安易に考えてこのような行為に及ぶ人がたくさん出てきてしまうのです。

今後は、社会全体に認知させる意味も含めて、SNS炎上による被害について、本人に対して損害賠償請求をしていくという姿勢を企業が見せていくべきでしょう。