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ネット社会に新たな権利「忘れられる権利」が今求められる理由とは?

皆さんは「忘れられる権利」という言葉を聞いたことはありますでしょうか?
正直、あまり耳慣れないという方が多いのではないでしょうか。その反対に「知る権利」というのはご存じのことと思います。


忘れられる権利

知る権利は民主主義国家の基本でもあり、日本国憲法においても、情報公開請求権や報道の自由、取材の自由などによって認められている権利です。

これに対し、なぜ「忘れられる」ことをわざわざ権利として認める必要があるのでしょうか。これには、今のネット社会に潜む「闇」が深く関係しているのです。

忘れて欲しくても忘れてもらえないからこそ「忘れられる権利」が必要

そもそも日本では予てから「知る権利」と「忘れられる権利」については常に対立構造にありました。

知る権利として認められている報道の自由、取材の自由に対し、個人のプライバシーの侵害という問題との間で過去幾度となく裁判内外において争われてきました。ただ、知る権利に対し「忘れられる権利」については、表立って謳われることはありませんでした。
なぜならそれは、わざわざ忘れてもらわなくても、時が経過すれば勝手に人の記憶から消えて忘れ去られていくからです。

ですから、本来「忘れられる」という行為は、権利として行使しなくても、勝手に世間に忘れてもらうことができるはずなのです。
けれども、今この「忘れられる」という行為が機能しなくなってきているのです。

その原因とはまさにインターネットであり、デジタルタトゥーであり、サジェストなのです。これらのデジタル化された情報は、ネット上に拡散され、半永久的に残り続けてしまいます。そうなると、ことあるごとにその情報がユーザーの目に入ってしまうため、いつまでたってもネガティブな情報を世間の記憶から消し去ることができなくなってしまうのです。

つまり、世間に忘れてもらうのにも、特別な権利を行使しなければならないような時代に突入しているということなのです。

裁判所は「忘れられる権利」をどう見ているのか

日本の裁判所の見解としては、今の所この忘れられる権利を確たる権利として認める確定判決は出していないようです。これには主に2つの理由があるとされています。

  1. 1:忘れられる権利の定義、要件、効果が現段階では不明確である
  2. 2:プライバシー権や名誉権などの人格権でも救済できる

忘れられる権利はまだ巷で言われ始めて間もないため、その概要が不明確であり、裁判所が個別に議論するほどの状況に至っていません。また、現状では、あえて忘れられる権利を個別に適用しなくても、ネット誹謗中傷の削除請求については、人格権であるプライバシー権や名誉権などに基づいて権利を主張することが可能なため、これとは別に忘れられる権利という権利を設ける必要性がないとも考えられています。

もしも忘れられる権利が認められるとどうなる?

では、もしも忘れられる権利が認められるとどうなるのでしょうか。

メリット:削除請求がしやすくなる

今のところネット誹謗中傷の削除請求については、プライバシーの侵害や個人情報の流出など一定の要件に該当する場合に限り削除が認められてきました。けれども忘れられる権利が個別に認められれば、それら人格権の侵害の有無に関わらず比較的緩やかな基準で削除に応じてもらえるようになるかもしれません。

デメリット:知る権利の侵害

「忘れられる権利」とは逆の視点から見ると「忘れさせられる権利」ということにもなります。本来、忘れるかどうかは情報を受け取る側に委ねれるべきことのはずです。それを忘れられる権利を個別に認めて情報の削除合戦が始まってしまうと、これはある種の個人による情報統制が敷かれているのと同じような状態となってしまう恐れがあるため、これによって知る権利を侵害してしまうリスクがあるでしょう。

忘れられる権利を認める地裁判決が出ました

なお、最近2016年になってついに裁判所が「忘れられる権利」を認める判断を出したと注目が集まりました。本件事例では、逮捕歴のある男性がグーグルに表示される自身の逮捕に関する記事の削除を求めて訴えました。
第一審において「忘れられる権利」を認めて削除と慰謝料の支払いを命じましたが、残念ならが控訴審においては要件が明確ではないとして認められませんでした。
最終的には認められなかったものの、徐々にですが「忘れられる権利」の必要性が裁判所に認識されてきた証拠ではないでしょうか。

削除請求は忘れられる権利の行使よりもまずは弁護士に相談を

ネット誹謗中傷記事の削除については、忘れられる権利、プライバシー権、名誉権などどの権利を主張していくのか悩ましいところですが、これについてはネット誹謗中傷に強い弁護士に相談してその判断に従えば問題ありません。
現状のところは、忘れられる権利が公に認められなくとも、人格権に基づいてプライバシーの侵害や名誉毀損などを主張して十分削除請求していことが可能でしょう。