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発信者情報開示に係る意見照会書が突然自宅に届いた時どうするべきか


インターネットの普及率はどんどん上昇しており、今や若者のインターネット利用は9割を上回っている状況にあります。(平成27年通信利用動向調査 総務省調べより)
これにスマートホンの普及も後押ししたこともあり、今や誰でも簡単にネット掲示板やSNS、ブログなどへアクセスできるようになりました。
皆さんも一度くらいは、それらの電子媒体に何かしらの投稿をしたことがあることでしょう。

例えばtwitterやfacebook、SNSなどを通じて、自分の思想や意見を世間に対して主張したり、写真を公開することもできます。これはとても便利なことであり、様々な利用価値がありますが、その反面、軽はずみな投稿が原因で、他人を傷つけてしまうこともあるかもしれません。

もしも、ネット上で他人を誹謗中傷するような記事を投稿してしまうと、しばらくして「発信者情報開示に係る意見照会書」という書類が自宅に突然届く可能性があります。
発信者情報開示に係る意見照会書とは一体どんな書類で、どんな意味があり、そしてどう対処すれば良いのでしょうか?

Contents

発信者情報開示に係る意見照会書って何?

発信者情報開示に係る意見照会書とは、一言で言うと「プロバイダからのおたずね」です。
つまり、

「あなたの投稿した記事によって、権利を侵害されたとする被害者から、あなたの氏名、住所、連絡先を教えるよう請求されています。これについてあなたはどう思いますか?」

というのが、発信者情報開示に係る意見照会書の概要です。

これが届いたということは、少なくとも誰かがあなたのネット上への投稿に対して被害を受けているということを意味しています。
このように、被害を受けたとしてプロバイダや掲示板の管理者に対して犯人の情報を教えるよう請求することを「発信者情報開示請求」といいます。そして発信者情報開示請求は、プロバイダ責任制限法第4条の基づいて行われる正当な権利です。
なお、プロバイダ責任制限法4条2項には、このように書いてあります。

「開示の請求を受けたときは、当該開示の請求に係る侵害情報の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、開示するかどうかについて当該発信者の意見を聴かなければならない」

「当事者の意見」つまり投稿したあなたの意見を聞いた上で開示請求に応じるかどうかを判断しなければならないため、発信者情報開示に係る意見照会書という書面をプロバイダが送ってきたのです。

発信者情報開示に係る意見照会書には何が書いてある?

発信者情報開示に係る意見照会書には、主に次のようなことが書かれています。

  1. あなたの投稿に対して発信者情報開示請求を受けていること
  2. これに対し意見がある場合は、期限までに回答書を提出してほしいこと
  3. 開示に同意しない場合でも開示することがあること

回答書の期限については、7日間という期限がプロバイダ責任制限法によって規定されています。

万が一何らかの事情で7日以内の回答ができない場合は、その旨を必ずプロバイダに連絡する必要があります。また、たとえあなたが開示請求を拒んだとしても、プロバイダ責任制限法に規定のある下記2つの要件を満たしている場合は、開示されてしまいます。

発信者情報が開示される要件

1:侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
2:当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。

この2つに該当する場合は、あなたの意思に関係なくあなたの情報が請求者に開示されます。

発信者情報開示に係る意見照会書を無視するとどうなる?

発信者情報開示に係る意見照会書は、情報発信者側の表現の自由などを守るために行われている制度でもあります。

そのため、これを正当な理由もないのにただ無視してしまうと、プロバイダに与える印象は悪くなるため、情報が開示される可能性が高まる危険性があります。発信者情報開示に係る意見照会書を無視して良いことは一つもありませんので、必ず何かしらのリアクションをする必要があります。

もしも判断に困る場合は、できる限り早急に弁護士に相談して回答することをおすすめします。

発信者情報開示に係る意見照会書に対する回答書を出しても、プロバイダの裁量で開示されてしまうのか?

仮に発信者情報開示に係る意見照会書に対する回答書を出したとしても、原則的にはプロバイダの判断で発信者情報を開示するかどうかを決めることとなります。

ただ、過去の傾向からすると、プロバイダは発信者情報の開示に慎重なため、投稿した内容が明らかな個人情報の流出であったり、権利侵害が明白な場合でなければ、任意での発信者情報開示請求には応じないことが多いようです。
もしもプロバイダが開示しないという判断をした場合で、それで請求者が納得しない場合は、裁判によってあなたの情報を開示するかどうかを争うことになります。

発信者情報開示に係る意見照会書が届くと「罪」に問われるのか?

発信者情報開示に係る意見照会書が届いたからといって、必ず法律違反で罰せられるというわけではありません。そもそも、請求者があなたの情報の開示請求をしている目的は、主に次の2点です。

発信者に対する損害賠償請求(民事上の責任)

誹謗中傷による投稿で受けた精神的苦痛などに対する慰謝料を請求するために、請求先を特定する目的で発信者情報開示請求をします。また、お店の売り上げや企業イメージを悪化させたなどの損害がある場合は、それらについても損害賠償で請求される可能性があります。

慰謝料については過去の裁判例を見ると、概ね100万円以下で落ち着いているようです。営業損害などについては、その時の被害状況によって異なりますが、個人に対する誹謗中傷よりも損害額は大きくなるでしょう。

名誉毀損罪による告訴(刑事上の責任)

投稿した内容が他人に対する名誉毀損に該当する場合は、被害者から名誉毀損罪で告訴される恐れがあります。告訴自体は、発信者が特定できなくても可能ですが、被告を特定するために、発信者情報開示請求をする場合があります。

万が一告訴が受理されると、警察が捜査しますので、場合によっては自宅に家宅捜索が入る可能性もあります。なお、名誉毀損罪は親告罪のため、名誉を毀損された被害者が告訴をしなければ、警察が勝手に捜査することはありません。

もしも裁判によって名誉毀損罪が成立すると、3年以下の懲役や50万円以下の罰金刑となります。
先ほどの民事事件としての損害賠償請求とは別ものですが、告訴によって名誉毀損罪が成立すると、損害賠償請求においても被害者側にとって有利な証拠となります。

発信者情報開示に係る意見照会書は無視をせず、早急に弁護士に相談

発信者情報開示に係る意見照会書が自宅に届いたということは、誰かがあなたに対して激怒しているということに他なりません。

万が一プロバイダが開示請求に応じたり、裁判によって開示が認められると、それまで匿名で投稿していたのに、あなたの氏名や住所、連絡先などが被害者に丸裸にされることとなります。

そのため、問題をできる限り最小限で抑えるためには、発信者情報開示に係る意見照会書が届いた段階ですぐに弁護士に相談することがベストです。
対処が早ければ、万が一訴えられた時のために防御の準備をしたり、発信者情報開示に係る意見照会書に対する回答書の書き方について、弁護士の視点からアドバイスをしてもらうことで開示請求を退けることができるかもしれません。

万が一発信者情報開示に係る意見照会書が自宅に届いたら、無視をせず、真っ先に弁護士に相談しましょう。

《参考》ネット誹謗中傷の加害者が裁判で訴えられた場合の弁護士の必要性と前科について