ネット誹謗中傷対策業者の光と闇!本当に助けてくれるのはだれ?
ネット誹謗中傷の被害にあった際に、どうしたものかと対処法をインターネットで検索していると「誹謗中傷対策業者」という名称を目にすることがあります。さて、この業者、一体どのような業者で本当にネット誹謗中傷被害を解決してくれるのでしょうか?
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ネット誹謗中傷対策業者は本当に「違法」なのか?
いろいろなサイトに、ネット誹謗中傷対策業者には「違法営業しているところが多い」との記載がありますが、果たして本当にそうなのでしょうか。
結論から言うと、違法となる場合があるのは事実です。
そもそも、ネット誹謗中傷記事の削除要請をするためには、管理者やプロバイダなどに対して削除の「交渉」をする必要性が出てきます。また、情報発信者である加害者を特定して損害賠償請求をする際にも当然「交渉」が必要となります。
実は、これらの行為については、弁護士以外の人間が代理人として行うと、弁護士法違反となるのです。
いわゆる「非弁行為」というやつです。
他人の代理人となって直接相手方と交渉できるのは、原則として弁護士だけです。
仮に、ネット誹謗中傷対策業者と名乗る弁護士ではないものが、これらの交渉ごとを被害者に代わって行うと「2年以下の懲役又は300万円以下の罰金刑」となる可能性があります。
ですから、ネット上の誹謗中傷記事を削除することを被害者から請け負う行為は、違法となるため、誹謗中傷対策業者がこれを行うと当然アウトとなります。
これらの違法行為を行っている誹謗中傷対策業者に解決を依頼してしまうと、残念なことにさらなる二次被害が発生してしまう可能性があります。
そもそも、そういった違法行為で勧誘している業者に削除を依頼しても、結局削除ができなくてお金も返ってこない、というケースが殆どです。
このような二次被害に遭わないためには、誹謗中傷記事の削除や損害賠償請求については、たとえ敷居がちょっと高いと感じたとしても、必ず「弁護士」に相談するようにしましょう。
違法ではないクリーンなネット誹謗中傷対策業者もある
実は、すべてのネット誹謗中傷対策業者が違法営業というわけではありません。
例えば、企業向け、店舗向け、個人向けなどに対して、誹謗中傷記事に対する防衛策を提案したり、逆SEO対策などによってネガティブな記事を検索のトップからどんどん下に下げていくといった業務については、特段相手方との交渉が必要ないため、弁護士法上は問題もありません。
反対に、こういったクリーンなネット誹謗中傷対策業者は、ITに精通したシステムエンジニアの精鋭部隊が待機していますので、誹謗中傷記事やネット風評被害などの事前対策や、発生後の初期対処などが的確で早いため、今後の事業運営の中の「リスク対策」として活用すると良いでしょう。
非弁行為となる行為を除く範囲のネット誹謗中傷対策を行っている業者の多くは、以下のような対策をサポートしてくれます。
【クリーンなネット誹謗中傷対策業者が対応してくれる主な業務について】
風評被害の監視サービス
専門の担当者が一定周期でクライアント企業やお店のネット風評をチェック監視し、誹謗中傷するような記事を発見し次第、クライアントに報告します。
そこから先については、別途弁護士が対応することとなります。
SEO対策、MEO対策、逆SEO対策
企業の広告活動の一環として、特定のキーワードで上位表示されるよう対策を練ることや、その反対にネガティブな記事を検索上位に表示させないための対策などを行っています。その他、ミラーサイト対策なども重要です。
個別サイトごとの対策
2ch、ブログ、掲示板、各種口コミサイトなどについて個別に対策を行います。
これらの業務については、特段非弁行為ではありませんので、ネット誹謗中傷や風評被害のリスクヘッジを検討する際には、是非相談してみると良いでしょう。
良い・悪いのネット誹謗中傷業者の見分け方とは
良い業者と違法な業者がいることはわかっていただけたかと思いますが、では具体的にそれらを見分ける方法はあるのでしょうか。
非弁行為を行っていないかどうか
弁護士でなければできないことは、代理人となって加害者と交渉することです。
ですので「私たちが削除要請を行い削除させます」といった感じで、削除の交渉や損害賠償請求ができるといった誤解を与えるような広告を出している業者は完全にNGです。
適法なネット誹謗中傷対策業者の多くは、こうした紛争発生後の「事後対処」よりも、紛争予防対策を目的としている業者が殆どです。
やたらと着手金が高い
違法営業をしているネット誹謗中傷対策業者の場合、いつでも逃げられるよう着手金を高く設定しているケースがあります。数十万円という高額な着手金を要求された場合は、一度違法業者ではないかと疑ってみましょう。
弁護士と提携しているから大丈夫と言ってくる
確かに、弁護士と連携してネット誹謗中傷に立ち向かっている業者もありますが、中にはそのような連携関係はないにも関わらず、あたかも以前から連携していたかのような謳い文句で勧誘してくる場合もあります。
このような場合、実際に弁護士本人が出てきて被害者と直接面談しているような場合には問題ありませんが、弁護士の名前だけ貸すなどといった場合は完全に違法業者ですので注意しましょう。
適法にきちんと営業しているネット誹謗中傷対策業者は、非弁行為となる行為については避けて、事前対策などIT技術を駆使したサポートを提供しています。そのため、すでに紛争化している状況の場合は、できる限り弁護士に相談するようにしましょう。
もしも違法なネット誹謗中傷対策業者にお金を払ってしまったら、どうやって返還請求すればいいの?
万が一、違法なネット誹謗中傷業者に着手金や報酬金を払ってしまったら、一体どうすれば良いのでしょうか。ここでは、そんな時にどうやって返還請求の手続きをすれば良いのかについて解説したいと思います。
ポイントは弁護士に相談すること
このようなケースでは、弁護士を代理人として立てて返還請求をするのが一番確実です。違法業者の場合、本人から返還請求をされたくらいではまず返還することはないでしょう。確実にかつ迅速に解決するためには、必ず弁護士に依頼する必要があります。
そして弁護士を通して、非弁行為の疑いを指摘してもらってプレッシャーをかけつつ、迅速に返還請求をするよう交渉すれば、かなりの確率で支払った費用の返還を受けることができます。
ただし、支払ったお金が何に対しての費用なのかは非常に重要となります。
非弁行為となる削除交渉以外の何らかの調査費用など、微妙に非弁行為に当たらない範囲の費用だったりすると、相手が返還を拒否することもあります。
《参考》違法な削除業者に要注意!弁護士じゃなければできない非弁行為ってなに?
そのため、ネット誹謗中傷対策業者に費用を支払う際には、何に対して支払うお金なのかを必ず明確にするようにしましょう。
たとえ、違法ではない業者だったとしても、請求書や委託契約書など必ず書面で残るものの交付を受けることを忘れないようにして下さい。
まとめ
ネット誹謗中傷対策業者は、すべてが違法ではなく、適法に営業している会社もたくさんあります。
ポイントは、ケースに応じて使い分けをすることです。
予め誹謗中傷のリスクヘッジをしたい場合は、SEO対策や風評被害の監視サービスを行ってくれる適法なネット誹謗中傷対策業者に相談し、万が一誹謗中傷被害が発生した場合には、サイバー弁護士やIT弁護士に依頼すると良いのではないでしょうか。