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UCCのTwitterを使ったキャンペーンの炎上事例

TwitterFacebookは、今や一コンテンツではなく、企業の広報活動を効果的に行うための最重要ツールとなりつつあります。ただ、その仕組みはマスメディアや一般的なネット広告とは性質が異なるため、正しい知識を持って活用しなければ、場合によってはユーザーから非難を浴びて炎上してしまうケースもあるため注意が必要です。

そこで今回は、知らなかったでは済まされなかった、twitterの活用に失敗したキャンペーンの実例をご紹介したいと思います。

Contents

UCC上島珈琲の失敗事例

twitterを利用したネットメディア戦略において、代表的な失敗事例として有名になっているのがUCC上島珈琲です。

同企業は予てからマスマーケティングにおいても活発に活動をしており、その流れをTwitterに活かしてプロモーションしようとしましたが、あることが原因で、ネット上で一気に炎上する結果となってしまいました。まずはその詳細について説明したいと思います。

ことの発端は特定キーワードに対するBOTによる返信

上島珈琲は、以前から実施していた珈琲にちなんだエッセイや画像作品を募集する「コーヒーストーリー大賞」と「コーヒーアート大賞」のプロモーションの一貫として、twitterの活用を計画しました。そこまでは良かったのですが、のちに問題となったのはそのやり方です。

Twitterによって効率的にキャンペーン情報をプロモーションするために、ユーザー側の一定のキーワードに自動的に反応してメッセージを送信するやり方をとったのです。そのメッセージとは、具体的に言うと「コーヒー、懸賞、UCC、小説」などキャンペーンに関連するキーワードが選ばれましたが、これらのキーワードに対してBOTによって自動返信したのが大きな間違いでした。

メッセージがスパムと勘違いされる

メッセージの返信を特定のキーワードに対してBOTにより行ったため、一部のユーザーにはこのメッセージがスパムに映ったのです。

ユーザーからすると、もともとフォローもしていないようなアカウントから勝手にキャンペーンと思われるメッセージが送られてきたことから、不信感を抱かせてしまったのです。

また、効率を上げるためにキーワードごとに11のアカウントに振り分けたため、公式のアカウントが複数存在するようにユーザー側には写り、完全にスパムであるとの認識をユーザー側に抱かせてしまったのです。

これにより、実際にtwitter側もスパムであると認定し、11のアカウントのうち3つを停止するに至りました。その後、異変に気がついた上島珈琲自身が残りの8つのアカウントを自主的に停止し、開始からわずか2時間でtwitterを使ったプロモーションは大トラブルの末に幕を下ろしました。

そもそもtwitterは他のマスメディアとは違い、情報発信者が一方的に情報を流すタイプの媒体ではなく、双方向に情報が流れるという大きな特徴があります。
新聞や雑誌、テレビなどのマスメディアであれば、企業側が発信したい情報を選んで一方的に発信することができます。これに対しtwitterの場合は、ツイートとフォロー、リツイートのように、企業側が発信した情報に対してユーザー側もそれに応えるという特製があります。

上島珈琲の事例では、この違いを正しく認識できていなかったがために、マスメディアと同じ感覚でtwitterを活用したことで、問題が大きくなったのです。本来であれば、BOTよりも、人力で一定のプロモーションをかければ、また違った結果だったのかもしれません。

上島珈琲に学ぶ炎上後の適切な対処法

なお、上記上島珈琲の事例では、失敗としての教訓だけではなく、失敗した際の適切な対処法としての教訓も残してくれました。

というのも、このような大失態を起こしたわけですが、その後の対応が非常に適切だったため、最終的にはかえって上島珈琲に対して肯定的な意見の方が多く見られたのです。
では、上島珈琲は炎上したのちにどのような対処をしたのでしょうか。今回はそのポイントについて解説したいと思います。

発覚からアカウント停止までの迅速性

上島珈琲の優れていた点は、一言で言うと「危機管理能力」です。そもそもすべてのアカウントを停止させたのは、配信開始から約2時間あまりです。この迅速性のおかげで、被害を最小限に食い止めることができたのです。

正直な謝罪

次に適切だったのは、謝罪です。上島珈琲はその日の午後には会社トップまで情報が伝達され、対応を協議しました。

そして、すべてを包み隠さず正直に出して謝罪する、という決断を下したことが何よりユーザーの信頼を取り戻すきっかけとなったのです。
具体的には、ホームページ上に即座に謝罪文を掲載しました。また、この際もユーザー側の求めに応じてPDF版とHTML版の2つが公開されました。
この真摯な謝罪の姿勢が、当該失態を補填してあまりある効果を上げることとなったのです。

上島珈琲は、これらの対応を事態発覚からその日のうちに全て行ったことが、何よりユーザーから信頼を取り戻すに至った一番の要因であったといえるでしょう。

上島珈琲の事例は、このように貴重な教訓を残してくれました。

企業としてtwitterなどのソーシャルメディアを広告として利用する際には、その特性を十分に理解して行う必要がありますが、万が一トラブルが発生した場合の危機管理についても、同様に重要であるということを再度認識させられる貴重な事例であるといえるでしょう。