増え続ける誹謗中傷被害!弁護士に相談するメリットと、対策業者との違いとは?
ネット上で自分の名誉を毀損されたり、誹謗中傷する記事が投稿された場合、その記事や書き込みを一個人の力で迅速に削除することは容易ではありません。
今やネット上には数え切れないほどの数のサイトや掲示板、ブログなどの情報発信媒体が存在しているため、削除経験のない人には到底手に負えないでしょう。
ではそんな時、被害者はどこに相談すれば良いのでしょうか。
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ネット誹謗中傷被害の相談先は、用途に応じて「3箇所」と考えましょう
ネット誹謗中傷問題を取り扱っている相談先は、大きく分けて3つあります。それぞれできることや得意としていることに違いがあるため、まずはどのような特徴があるのかを見ていきましょう。
あなたが行う削除請求をサポートしてくれる「法務局」
法務局は一般の方が普段行くことはまずないでしょう。
法務局は不動産の謄本や会社の謄本を取得する場所というイメージが強いかもしれませんが、実は人権侵害に関する問題も取り扱っており、ネット誹謗中傷被害についても相談窓口を設置していますので、誰でも気軽に相談することができます。
法務局は法務省管轄の公的な機関ですので、安心して相談できますが、営利目的のサービスではないため、あくまで対処するのはあなた自身となります。法務局はあなたがサイトの管理者やプロバイダに対して削除請求する際の手順や方法などをアドバイスしてくれる存在となります。
ですから、相談すれば全てあとは法務局が削除まで対処してくれるとは限りらないのです。
ただし、あなたが削除請求をしてもサイト側が削除に応じないような場合は、法務局から直接削除請求をしてくれることもあります。
何れにしても、緊急性が低く、できる限りお金をかけずに対処したい際に相談する先と考えましょう。
《参考》ネット誹謗中傷記事を「法務局」が削除請求してくれるって本当!?
事前対策や予防を謳う「誹謗中傷対策業者」
ネット上で「誹謗中傷対策」などと検索すると、ヒットしてくるものの中に「誹謗中傷対策」を専門に行っている業者が目に入るかと思います。
これらの業者は個人や法人を対象に、ネット誹謗中傷被害の事前対策を行っています。
本来、誹謗中傷被害が発生した後の「削除請求」、「発信者情報開示請求」「損害賠償請求」などの法律事務については、弁護士、弁護士法人以外の業者が業務として行うと「非弁行為」となり弁護士法違反になるためできません。
そのため、これらの対策業者は、紛争発生後の記事削除や犯人探し、損害賠償請求ではなく、これらの被害を発生させないための「事前対策」を主として行っています。
例えば、シスエムエンジニアなどが、定期的にサイトを巡回し、クライアントに対する誹謗中傷などのネガティブな書き込みがないかをチェックするなど、比較的手間がかかることも請け負ってくれます。
そのため、法人や店舗を運営している事業者にとっては重宝するでしょう。
《参考》違法な削除業者に要注意!弁護士じゃなければできない非弁行為ってなに?
誹謗中傷被害を完全に解決してくれる「弁護士」
誹謗中傷被害は民事事件であり、場合によっては業務妨害罪や信用毀損罪などの刑事事件となる可能性もあるため、問題を根本的に解決するためには、やはり弁護士に相談するのが一番良いでしょう。
なお、ここで一旦相談先の特徴をおさらいしたいと思います。
ここまでのおさらい
法務局の場合:対処法を教えてくれるが、基本的には自分で全部やることになる。また、損害賠償請求などは法務局ではできない。
対策業者の場合:非弁行為となるため、削除請求はできず、逆SEO対策など技術的な対応策に限られる。事前対策や予防などが得意。
このような特徴があるのに対し、弁護士の場合は、基本的にこれらすべてに対応できる法的権限を持っています。
そして何より、弁護士は被害者自身の「代理人」となることができるため、被害者自身が動く必要がなく、弁護士がすべてあなたの代わりに削除請求や発信者情報開示請求、損害賠償請求などを行ってくれます。
特にネット誹謗中傷被害に対する損害賠償請求は、被害額や慰謝料を算定することが難しく、またそれを加害者側に認めさせることはもっと難しいため、経験豊富な弁護士に依頼しなければ非常に難しいでしょう。
ただ、損害賠償請求が可能な事案であれば、賠償金の額が弁護士報酬を上回る可能性が高いため、費用対効果から考えれば、弁護士に相談することが一番賢いと言えるかもしれません。
弁護士に相談するメリット:対策業者と弁護士の違いとは?
中には、被害発生後の対処をウリにしている対策業者もありますが、それらの業者ができるのは、厳密に言うと「削除請求」をして誹謗中傷記事の根源を断つのではなく、誹謗中傷記事が表示されにくい環境を作るという対処になります。
削除請求は示談交渉などの法律事務と同じですから、対策業者がこれを行うと非弁行為となってしまいます。そこで、サイト管理者やプロバイダとは交渉せず、自社のシステムエンジニアの技術を駆使して、逆SEO対策などによって記事を意図的にユーザーの目の入らない場所に追いやってしまうのです。
これにより、一定の効果はあるのですが、弁護士に依頼する場合との決定的な違いは、あくまでこれは「一時的な措置」に過ぎず、問題の根本的な解決にはならないということです。
わかりやすく言えば、対策業者は誹謗中傷記事を「隠す」ことはできますが、「消させる」ことは原則としてできないのです。隠すということは、対策をやめればいつかは必ず表示されてしまいます。ですから、誹謗中傷被害を根本から解決するためには、やはり弁護士に相談するしかないのです。
弁護士への依頼が最善の選択です
このように、誹謗中傷被害の相談先はいくつかありますが、「早期解決」、「費用対効果」、「安心感」、「被害者自身の負担」、これらをすべて考慮して考えると、やはり弁護士に相談することが、圧倒的にメリットが高いといえるでしょう。
最近では、ネット誹謗中傷被害に強い「サイバー弁護士」というITスキルの高い弁護士も増えてきているそうですので、まずはそういった専門性の高い弁護士に相談してみることをおすすめします。