ネット上に自身や家族の写真を投稿するリスクと、勝手に使われた時の対処法とは?
最近では、フェイスブックやインスタグラムで個人のプライベート写真を公開している人が多くいます。ただ、これらの画像に公開制限をかけているにも関わらず、不当な手段で抜き取って、本人の知らないところで拡散するという被害が増えています。
では、もしもSNSの画像や個人情報が勝手にネット上の知らないところに公開された場合、プライバシー侵害の問題はどうなるのでしょうか。
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SNSの画像や個人情報の流出は、プライバシー侵害になるのか
最近では有名芸能人のSNSのやり取りが公開されて、大きな話題となりましたが、もしもこのようにSNSの画像や個人情報を勝手に公開された場合、プライバシー侵害になるのでしょうか。
まず、プライバシー侵害が成立するには、以下の3つを満たす必要があります。
- 私生活上の情報である
- まだ他人に知られていない事実である
- 通常公開されたくないものを、本人の同意を得ずに公表した
よって、先ほどの芸能人のSNSのやり取りについては、これらすべてに該当する可能性が高いため、プライバシー侵害に該当する可能性があるでしょう。
ただ、プライバシー侵害による慰謝料請求については、裁判によって訴えても10万円以下程度しか認められないことが多いため、訴訟まで発展しないケースが多いのです。
SNSに公開された画像を勝手に使われた時の対処法
もしもSNSに公開していた画像が、他人に勝手に流用された場合は、まず真っ先に弁護士に相談しましょう。SNSについても2chのような掲示板やブログなどと同様に、プロバイダに対して発信者情報の開示請求をすることができます。
ただ、その道のりは一般個人でできるほど簡単なものではありません。
これに関し、今年2016年10月に注目すべき判決がニュースで報道されました。
参考のため、下記に概略を解説致します。
《参考》もしもネット上に個人情報が流出したら、その時とるべき対処法とは?
《参考》恐ろしきリベンジポルノの恐怖。被害を受けた場合は、画像や動画の削除を弁護士に相談しよう
【SNS(ツイッター)の画像を無断で転用した加害者に対する情報発信者開示請求について】
1:概要
SNS(ツイッター)に娘の画像を使って偽の投稿をされたとして、両親がプロバイダに対して発信者情報の開示請求を求めました。
2:結果
新潟地裁はこの訴えを認めて、SNSへの投稿がされたマンションの名称と住所の開示をプロバイダに命じました。
なお、本件事案のように、SNSがツイッターだったような場合は、まずプロバイダを突き止めるところから始めなければなりません。
そこで両親はまず、アメリカのツイッター本社に対して発信者情報の開示請求を求める仮処分を申し立てました。
この申し立てに応じて裁判所はツイッター社に対してプロバイダのIPアドレスの開示を命じました。
そして、判明したプロバイダに対して、更に発信者情報の開示請求を求め提訴しこれが認められたのです。
この裁判において判決では、ネット上に公開されている画像について、「ネット上の公開画像でも、限定なく公開するには写っている人の承諾が必要」とする見解を述べています。
そして、承諾なく公開した場合は「肖像権」(プライバシー権の一部とされています)を侵害するとしました。
なお、結局プロバイダは発信者の氏名や電子メールアドレスは保管していなかったとのことで、住所とマンション名しかわからなかったようです。
このように、SNSに不当に投稿された画像や個人情報の発信者を突き止めて、損害賠償請求をすることは容易ではありません。
少なくとも、ネット被害に強い弁護士のサポートは必要不可欠であるといえるでしょう。
《参考》ネット誹謗中傷、風評被害対策に強い弁護士の報酬はいくら?
SNSで知り合いに勝手に画像や個人情報を漏らされた場合の対処法
なお、最近密かに問題となりつつあるのが、フェイスブックなどで投稿された画像や情報を、知り合いが勝手に流出、転用してしまうことがあるという問題です。
急速にSNSが普及して便利になったため、他人のSNSを見てそれを勝手に流用することに抵抗がなくなっているという意識の問題もあるかと思います。
ただ、このような知り合いによるプライバシー侵害は、法的手段を取るとその後の関係が悪化する可能性があるため、できる限り穏便に済ませたいところです。
特に自分だけならまだしも、子供の写真などを流用されると、親としてはほっておけません。
このような場合については、まず弁護士に相談した上で、直接本人と話し合う場を設けると良いでしょう。このような知り合いによる悪気のないプライバシー侵害が原因で、画像や個人情報がどんどん拡散してしまうことも少なくありませんので、知り合いだからと放置をせず、まずは一度話し合ってみることをお勧めします。
SNSの画像や個人情報が流出すると、「名誉毀損」の問題も発生します
プライベート写真の流出や個人情報の流出などによって、社会的な評価を低下させられた場合は、名誉毀損罪の成立も検討できる場合があります。
例えば、個人情報が含まれているSNSの会話を不当に公開された場合、名誉毀損となることも考えられます。
ただ、仲間内や知り合いの中だけで勝手に共有されたような場合については名誉毀損にはなりませんのでご注意下さい。ただ、名誉毀損とならなかったとしても、プライバシー侵害は成立の余地がありますので、それによる不法行為として加害者に慰謝料を請求することは可能です。
何れにしても、早期に弁護士に相談して対処することをお勧めします。