もしもネット上に個人情報が流出した時、とるべき対処法とは?
最近では、ほとんどのご家庭でインターネットが使える時代になり、誰でも簡単に様々な情報にアクセスできるようになりました。これは私たちにとって、とても便利でありがたいことなのですが、その反面、実はあるリスクを負っていることを忘れてはなりません。
それはネットを悪用した「個人情報の流出」です。
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ネット上に個人情報が流出すると何が起きる?
スマホの普及によって、今や簡単にSNSなどで写真や動画がアップできるようになりました。ただこれは、常にあなたの情報が他人の目にさらされるリスクを負っていることの裏返しでもあります。
では、万が一あなたの個人情報がネット上に流出した場合、その時一体どんなことが起きるのでしょうか。
ネット誹謗中傷被害、名誉毀損
他人が何らかの理由により悪意を持って個人情報を流出させると、それはネット上であなたを誹謗中傷することになります。ネット誹謗中傷は、被害者に大きな精神的苦痛を与えるだけでなく、対処が遅れると、その情報や画像、動画があっという間に拡散してしまい、さらに被害が拡大する恐れがあります。
風評被害
最近では、ネット上で誹謗中傷されるのは、個人だけとは限りません。例えば、口コミサイトで、自身の経営するお店に対して誹謗中傷するような書き込みがされると、精神的苦痛だけでは済まされず、風評被害によって売り上げの減少など深刻な経済的損失を被ることになります。
このように、万が一ネット上に個人情報やこれに関連するネガティブな情報が流出すると、それによる被害は深刻なものとなります。では、万が一ネット上にそのような痕跡を発見したら、その後どのように対処すれば良いのでしょうか。
ネット上に個人情報が流出した場合の対処法
万が一ネット上に個人情報などが流出しているのを発見したら、それ以上の情報の拡散を防ぐためにも、迅速な対応が求められます。このような場合においては、何をおいてもまずは弁護士に相談して法的手段を講じることが先決です。では弁護士は具体的にどのようにしてその後対処をするのでしょうか。
その方法は、大きく分けると概ね次の2ステップに分かれます。
ステップ1:個人情報の削除
ネット上に個人情報が流出しているのを発見した場合は、突然のことに動揺してしまうかもしれませんが、まず何をおいても優先的にしなければならいのが流出した個人情報の「削除」です。このようにして流出した個人情報については、弁護士に相談をして、そのサイトを管理している「管理者」に対してその情報の削除要請をすることが可能です。
これについては、「プロバイダ責任制限法」にその規定があります。
このようなケースでは、書き込んだ本人を突き止めるよりも、まずはサイト管理者に対して削除要請をする方が、より早く情報を削除することができます。
なお、ここでいうサイト管理者とは、インターネットプロバイダに限らず、個別のブログや掲示板の管理人、サイト運営者など広い意味で捉えられます。
このように、管理者側に個人情報の削除が依頼できる権利の事を「送信防止措置請求権」といいます。この権利によって削除依頼を受けたプロバイダなどの管理者は、発信者に対して回答を求め、削除するかどうかを判断しますが、通常、個人情報が流出しているような場合は、概ね削除が認められます。
万が一複数のサイトに情報が拡散している場合は、それらすべての管理者に対して削除要請をすることになります。そのため、個人情報の流出が判明したら、できる限り早急に弁護士に相談して上記のような法的措置を講じましょう。
ステップ2:損害賠償請求
さて、ステップ1で「送信防止措置請求権」を行使して、個人情報の流出を食い止めることができたら、次にすべきことは個人情報流出による「損害賠償請求」です。
例えば、ネット上に流出した個人情報や誹謗中傷する書き込みによって、名誉毀損が認められる場合は、それに対する精神的な損害に対する賠償として、いわゆる「慰謝料」を請求することが可能になります。
慰謝料相場はケースに応じて様々ですが、概ね10万円〜50万円程度が一般的です。
また、お店や会社などの信用を失墜させるような案件に対しては、100万円以上の慰謝料が認められるケースもあります。
どうやって情報発信者(加害者)を調べるの?
さて、ここでポイントとなるのが、どうやって名誉毀損の「加害者」を特定するのかという点です。
実は、プロバイダ責任制限法には、個人情報の削除要請だけではなく、「発信者情報開示請求権」というものが規定されています。これは、被害者が発信者情報の開示請求をした場合については、以下のような情報を公開するとした規定です。必ずしも開示が認められるわけではありませんが、弁護士を通して正当な理由によって請求をすれば開示請求に応じてくれる可能性が高まります。
発信者情報開示請求によって開示される情報について
- 発信者の氏名、住所
- IPアドレス
- メールアドレス
- 個人情報を流出させた日時の記録
弁護士に相談すれば、これらの情報をもとに、発信者である加害者に対して名誉毀損による損害賠償請求をすることが可能になります。
まとめ
このように、万が一個人情報がネット上に流出した場合は、その後の対処はとにかく「スピード勝負」です。まずは弁護士に相談の上、サイト管理者に対して「削除要請」を行い、情報拡散を防ぐとともに、「発信者情報開示請求」を行い加害者に対して速やかに損害賠償請求をしましょう。